株式会社メインライン・エンジニアリング技術人材採用課課長の阿部と申します。社内では主に採用業務を行っておりますが、お恥ずかしい話、今まで土木現場での経験はなく、一級土木の試験勉強を始めるまで土木業界の知識もほとんどありませんでした。2026年、自社採用業務における入社希望者との対話の解像度をあげるため、一級土木施工管理技士の一次試験を受験することを決意し、4月に願書を提出しました。しかし、怠惰な性格や第一子の出産が6月後半にあったこともあり、本格的に勉強を始めたのが6/30からという体たらく・・・しかし、ここから1日約4時間×5日間の20時間の勉強の末、無事一級土木施工管理技士の一次試験に合格することができました。資格取得の目安勉強時間は約100時間(しかも恐らく土木の知識が元々ある想定)ということを考えると、かなり効率良く合格できたと自負しています。今回はこのコラムで「土木知識ゼロから約20時間で一級土木施工管理技士の一次試験に合格するためのコツ」をお話させていただきます。第一章:まずは全体の問題構成を把握しよう資格試験にまず必要なのは、どのように合格のボーダーを超えるのかのイメージを作り、そのゴールから逆算して勉強時間を配分することです。一級土木施工管理技士の一次試験は、全体で得点率6割以上を取る必要があります。しかし、気を付けなければならないのが、全体で6割を超えていたとしても、施工管理法(応用能力)の設問で必ず6割を超えていなければ、他の設問がどんなに得点が高かったとしても不合格となってしまう点です。このことからも一番時間を割くべき設問は施工管理法(応用能力)の分野になります。(理由は後述しますが、土木知識ゼロの人間が、重要度が高いという理由から施工管理法(応用能力)の勉強を始めるとドツボにハマります)なお、実際の一級土木施工管理技士の一次試験の問題構成は下記になります。分野問題数の目安内容土木一般・基礎工学等出題約20問→17問選択土工、コンクリート、基礎、構造物など専門土木出題約35問→10問選択道路、河川、ダム、トンネル、舗装など法規出題約12問→8問選択建設業法、労働安全衛生法、道路法など施工管理法(基礎能力)出題約20問→全問回答施工計画、工程、安全、品質など施工管理法(応用能力)出題15問→全問回答施工管理に関する実践的・応用的な問題合計70問回答第二章:過去問を解いて試験の難易度を把握しようわたくしは過去にもいくつか資格取得試験に合格してきていますが、その際にはまず初めに過去問を解くようにしてきました。実際の試験の難易度に触れ、「恐らく何時間勉強すれば合格できるのか」を計算するためです。しかも事前調査で、一級土木施工管理技士の一次試験は過去問から似たような問題が出題されると聞いていたため、過去問を解くというフェーズは今回非常に重要であると認識していました。しかし・・・ここで大きな壁にぶち当たります。問題文の意味が全く理解できないのです。わたくしが一番最初に解いた過去問は2025年のものなのですが、その問題が下記になります。問:下図の土の構成を表した模式図の記号を用いて、「湿潤密度ρt」と「間隙率n」を求める式の次の組合せのうち、適当なものはどれか。土木の知識がない人であれば共感していただけると思うのですが、まず「湿潤密度」や「間隙率」という言葉に初めて直面します。そしてこのわからない単語のオンパレードが延々と続いていく・・・過去問を1年分解くのに5時間ほどかかったかと思います。しかし、この過去問を解くという行為のお陰で、一級土木施の試験に合格するための勉強方法のイメージを付けることができました。この勉強の流れが、一級土木施工管理技士の一次試験を知識ゼロから合格するために最も重要なことだと思いますので、是非とも参考にしていただければ幸いです。第三章:一級土木を知識ゼロから約20時間で合格する勉強方法実際にわたくしが試行錯誤してまとめた、効率よく一級土木の一次試験に合格するための手順が下記になります。 まずは過去問1年分を通しで解きます。わからない単語を全て生成AI(ChatGPTやGeminiなど、わたくしはChatGPTを使いました)に投げ、単語の意味をひとつずつ理解していきます。今の時代、携帯アプリなどでも過去問を解くことができますが、問題を全て印刷して問題用紙に書き込みながら勉強すると、過去問の用紙自体が単語帳になるのでオススメです。なお過去問の印刷は施工管理ドットコムというページから取得しました。URL:https://www.sekou-kanri.com/ChatGPTは一級土木の試験で出題される類似の単語なども提案してくれるので、これも合わせて理解すると効率が良いです。 工法などの言葉だけではイメージしづらいものに関しては画像や図解を生成AIで生成し、視覚的にインプットします。この際に画像や図解をLINEのKeepメモなどにまとめておくと、前日の総復習が効率的に行えます。前出の問題構成を見ていただけるとわかりますが、設問によっては問題が選択できるため、勉強しないジャンルをこの際に決めるのも大切です。例えば物理や計算が苦手な場合は力学などを一切勉強しなくても他の問題でカバーすれば問題ありません。苦手分野に時間を使って勉強をするよりは、得意な分野でいかにしっかり得点できるかが重要です。実際わたくしは物理問題においてはモーメント計算だけは勉強しましたが、他は捨てました。前出の問題構成を見ていただけるとわかりますが、設問によっては問題が選択できるため、勉強しないジャンルをこの際に決めるのも大切です。例えば物理や計算が苦手な場合は力学などを一切勉強しなくても他の問題でカバーすれば問題ありません。苦手分野に時間を使って勉強をするよりは、得意な分野でいかにしっかり得点できるかが重要です。実際わたくしは物理問題においてはモーメント計算だけは勉強しましたが、他は捨てました。 専門土木に関しては、過去問の問題文を読んだ段階でどの分野にしぼって勉強するかを決めます。だいたい13分野ほどにわかれていますが、5~6分野に絞って勉強するのがオススメです。約35問の中から10問選択のため、4分野に絞ってもよいのですが、各分野の難易度によっては問題を選択できた方が良いと考え、少し多めに勉強したことが実際の試験で吉と出たため推奨します。下記に13分野を羅列し、わたくしが選んだ分野には下線を引いておきますので参考にされてください。ただしここは好み次第だと思います。①鋼構造物②コンクリート構造物③河川④砂防⑤道路・舗装⑥ダム⑦トンネル⑧海岸⑨鉄道⑩港湾⑪地下構造物⑫鋼橋塗装⑬上下水道 法規については特殊で、過去問を解いてみると似たようなポイントが問われていることが多く、過去問の復習をするだけである程度得点することができます。今回全体を通しては2年分しか過去問を解いていないのですが、法規は4年分解いたところ、「これ見たことある!」というだけで5問正答できました。少し他の分野と毛色が違うところでもあり、出題数も少ないため、過去問でポイントを覚えるというだけのコンパクトな勉強時間でまとめたいところです。 施工管理については問題選択ができないため、時間をかけて網羅的に勉強することが必要になります。ただし、過去問を2年分解くとわかるのですが、同じ項目が出題されているところもあるため、頻出項目を抑えるだけでも4割ほどは得点できると思います。確実に得点できる問題の勉強時間をコンパクトにまとめ、それ以外の項目の勉強に残りの時間を使うというやり方がオススメです。実際にわたくしが得点源として重点的に勉強した項目は以下です。① トータルステーション② 施工体制台帳、施工体系図の作成における基本事項③ 仮設備計画④ 工程表の種類と特徴(特にネットワーク式工程表)⑤ 労働安全衛生法⑥ 品質管理図⑦ コンクリートの解体なお、土木基礎~法規までは一切参考書などは使わなかったのですが、施工管理(基礎能力)と施工管理(応用能力)については参考書で勉強しました。わたくしが使用したのは土木施工管理技術検定試験研究会著の「1級土木施工第1次検定徹底図解テキスト&問題集」です。参考書URL:https://www.natsume.co.jp/np/isbn/9784816376627/施工管理(応用能力)については、実は基礎能力を勉強することで下地の知識を得ることができます。しかし、施工管理(基礎能力)までの問題とは異なり、「適当なもののみを全てあげている組み合わせはどれか」や「適当なものの数はどれか」といった、単純な択一では正答できない仕組みになっています。ここについては① 過去問を解く② 過去問で出た問題の周辺知識を参考書でインプットするという作業を繰り返し行い、知識の穴を埋めていくしかありません。効率良く一級土木の一次試験に合格するためには、土木基礎から法規までの勉強時間をいかに短縮し、施工管理の勉強に時間を使うことができるかにかかっているのです。なお、第一章でも触れたように、施工管理の分野が重要であるがために施工管理の勉強からはじめてしまうと、土木用語があまりにもわからず、インプットの効率が非常に悪くなるためオススメしません。第四章:実際の5日間の過ごし方と総評6/30から7/4までの勉強の進捗をまとめましたので是非参考にされてください。なお、最短で合格するためには約20時間の勉強でも足りると思いますが、確実に合格するためには約40時間の勉強時間を確保し、知識の穴を埋めていく作業を行うことをお勧めします。6/30 2025年の過去問を解きはじめる。問題文と選択肢の土木用語をひとつずつ生成AIに投げ、その周辺知識も含めてインプットをしていく。工法などの文章説明だけではイメージしづらいものに関しては生成AIに図解してもらい、あとで視覚的に復習できるように別途まとめておく。生成AIの図解作成には時間がかかるため、その間に次の問題を解き、生成が完了したら戻って勉強すると効率的。この段階で専門土木も取捨選択しておく。7/1 初日では2025年の問題が解ききれなかったため、引き続き過去問を解く。約1時間で解き終わり、一度2025年を全て振り返って復習を行う。この時点で土木基礎、専門土木、法規については得点のイメージが湧くものの、施工管理については五里霧中。7/2 2024年の過去問を解きはじめる。2025年の過去問を解いて復習したことである程度土木の単語が理解できるため、約2時間半で解き終わる。自己採点では4割ほど。残りの時間で2024年の復習を行い、2025年の問題と照らし合わせながら問題の傾向を掴みつつ、知識の穴を埋める。施工管理については2025年の類似問題も出題されており、少し希望が見えてくる。7/3 法規と施工管理の分野の2023年、2022年の過去問を解く。法規については過去問の復習のみを行い、施工管理については過去問を解く→参考書で勉強するを繰り返す。この時点で施工管理(基礎能力)についてはある程度合格点をとれるイメージがつくが、施工管理(応用能力)についてはまだ自信が持てない。7/4 半分は施工管理(応用能力)の勉強に時間を使う。2022年~2025年の過去問を見直しながら参考書を読み込んで知識の穴を潰していく。過去問であれば満点がとれる状態まで仕上げ、あとは2025年の過去問をざっと眺めながら全体の総復習を行う。この際に別途まとめておいた生成AIの図解などを眺め、視覚的に情報を整理していく。全体を通して7割ほどの得点イメージがつく。あくまで自己採点の結果ですが、以下のような得点となりました。分野得点総評土木一般基礎工学等17問中11点物理をほぼ捨てたこともあり、想定通りの得点。勉強してきた問題で確実に得点できた印象。専門土木10問中8点自信を持って回答できる問題が多く、勉強の成果が一番現れる分野だと感じた。法規8問中5点一番勉強時間が少なかったが、過去問の勉強と復習のみで乗り切れた。施工管理法(基礎能力)20問中11点ケアレスミスもあり、想定より得点が取れなかった。手の回っていない分野も出題されたため、もう少し勉強の必要あり。施工管理法(応用能力)15問中10点確実に得点できる問題を取りこぼさなかったが、もう少し勉強した方が確実。合計70問中45点6割には達したが、より確実性を高めるためにはより計画的な試験対策が必要。最終章:終わりに 今回の一級土木施工管理技士の一次試験を勉強したことで、土木業界の知識を少しだけ得ることができました。しかし、これはあくまで上辺の知識だけであり、「土木業界はこんなにも広くて深いのだと痛感させられた」というのが、勉強した後に感じた一番の感想でした。本コラムはあくまで資格を取得するために参考にしていただくものであり、資格だけでは語れない土木の難しさ、そして現場で実際に働く方へのリスペクトをとても強く感じています。また、土木業界の面白さにも気づくことができました。勉強していくにつれて、普段目にしている構造物がどのように作られているのか、普段通っている道路が作られるまでにはどのような工事が行われているのかなど、自分の知的好奇心が刺激されていくのが実感でき、社会人になってからの経験でも指折りの楽しい経験となりました。現在土木業界では人手不足が叫ばれています。客観的に見ると難しそうな業界であり、なかなか他業界からの人材の流入が難しいのも理由のひとつだと、採用業務を通じて感じています。しかし、いざ飛び込んでみると非常に面白い業界であるというのがわたくしの感想です。本コラムを読んで「一級土木施工管理技士をとってみたい」という方が一人でも増え、土木業界に興味を持つ方が増えることを切に祈っております。筆者紹介阿部隼弥:株式会社メインライン・エンジニアリング技術人材採用課の課長。社内では主に人材の採用や広報活動を行っている。多くの技術者と面談をしていくなかで、「より土木の知識を身に着け、深く候補者との関係性を構築したい」という思いから、土木未経験ながら一級土木施工管理技士補の取得を決意し、体系的に学習中。メインラインエンジニアリングは、高速道路の発注者支援業務の会社です資格取得は、あなたの未来を切り拓く大きな一歩となります。発注者支援業務の解説ページはこちら