はじめに前編では、土木施工管理技士がどんな資格で、なぜ今注目されているのかをお伝えしました。後編では、「実際に現場でどんな仕事をするのか」にフォーカスします。土木施工管理技士の仕事の核心は、「施工管理の4大管理」と呼ばれる4つの業務です。それぞれ具体的にどんなことをするのか、現場のイメージを持ちながら読んでみてください。施工管理の4大管理とは?土木施工管理技士の主な仕事は、工事現場の「監督者」として現場全体を管理することです。その核心となるのが以下の4つの管理業務で、まとめて「4大管理」と呼ばれています。管理項目一言で言うと工程管理スケジュール通りに工事を進める品質管理定められた品質基準を守る安全管理事故・災害をゼロにする原価管理予算内で工事を完成させるそれぞれ詳しく見ていきましょう。① 工程管理 ── 「工事を計画通りのスケジュールで進める」工程管理とは、工事が決められた工期(完成期限)内に終わるよう、スケジュールを計画・管理する業務です。着工前に「バーチャート工程表」や「ネットワーク工程表」と呼ばれるスケジュール表を作成し、毎日・毎週の進捗を確認しながら工事を進めます。天候不良・資材の遅延・予期せぬ地盤の問題など、工事現場には計画を狂わせる要因がつきものです。そういった状況でも冷静に計画を修正し、工期内に完成させるのが工程管理のミッションです。用語解説バーチャート工程表:縦軸に作業項目、横軸に日程をとった帯グラフ形式の工程表。見やすく現場でよく使われるネットワーク工程表:各作業の順序・依存関係を矢印で示した工程表。複雑な工事の管理に有効② 品質管理 ── 「定められた品質基準を守る」品質管理とは、工事が設計図書(設計書・仕様書)に定められた品質・規格を満たしているかを確認・管理する業務です。たとえば、コンクリートを打設する際には「強度が基準値を満たしているか」「水セメント比は適切か」といった品質試験を実施します。使用する資材が規格に合っているかの検査、施工後の出来形(寸法・形状)の確認なども品質管理の仕事です。品質管理がしっかりできていないと、完成後に構造物が劣化・破損するリスクがあります。公共インフラの品質を守るという責任ある業務です。③ 安全管理 ── 「事故・災害をゼロにする」安全管理とは、工事現場で働くすべての人が安全に作業できる環境を維持するための業務です。建設業は他の産業と比べて労働災害が起きやすい職場環境であるため、施工管理技士にとって最も重要な管理項目のひとつです。具体的には、以下のような業務を行います。KY活動(危険予知活動):作業開始前に全員で「今日の作業にはどんな危険があるか」を話し合う安全朝礼・安全教育:作業員への日々の安全意識の徹底現場巡回・点検:足場や重機の状態、作業員のヘルメット・安全帯の着用確認などヒヤリハットの共有:事故には至らなかった「ヒヤリとした場面」を報告・共有して再発防止につなげる「ゼロ災害(労働災害ゼロ)」を目標に、毎日地道な取り組みを続けることが求められます。④ 原価管理 ── 「予算内で工事を完成させる」原価管理(コスト管理)とは、工事を実行予算(内部の予算計画)内で完了させるための管理業務です。受注した工事には「請負金額」がありますが、そこから利益を生み出すためには、実際にかかるコストを予算内に抑えなければなりません。労務費・資材費・重機のリース費用などを日々把握し、予算オーバーしそうな場合は早期に対策を講じます。原価管理は現場だけでなく会社経営にも直結する業務で、施工管理技士として上のステージを目指すうえで欠かせないスキルです。4大管理以外の仕事土木施工管理技士の仕事は4大管理だけではありません。現場では以下のような業務も日常的に発生します。施工計画書の作成:工事着工前に工法・工期・人員配置などを計画した文書を作成する発注者・役所との折衝:工事の進捗報告や書類提出、変更協議などを行う下請業者の指導・監督:複数の下請会社が入る現場では、各業者をとりまとめる近隣住民への説明:工事による騒音・振動・通行規制などについて丁寧に説明する「現場の技術者」というより、「現場のプロジェクトマネージャー」というイメージが近いかもしれません。どんな人が向いている?4大管理の内容を踏まえると、以下のような特性を持つ人が土木施工管理技士に向いていると言えます。マルチタスクが得意:工程・品質・安全・原価を同時並行で管理する必要があるコミュニケーション力がある:発注者・下請業者・住民など多様な関係者と毎日やりとりする責任感が強い:公共インフラの品質と安全を担うという強い自覚が求められる臨機応変に対応できる:天候・地盤・資材など、予期せぬトラブルへの対応力が必要逆に言えば、これらの力は資格取得・現場経験を通じて後天的に身につけられるものでもあります。最初から完璧である必要はありません。まとめ土木施工管理技士の仕事の核心は「4大管理」(工程・品質・安全・原価)工事を「作る」のではなく、工事全体を「マネジメントする」役割4大管理に加え、計画書作成・役所対応・下請指導など幅広い業務を担う現場のプロジェクトマネージャーとして、多様なスキルが求められる次回(第2章・前編)では、2024年から大きく変わった「受験資格」の最新情報をわかりやすく解説します。「学歴も経験もなくても受験できる」新制度の詳細をお見逃しなく!筆者紹介阿部隼弥:株式会社メインライン・エンジニアリング技術人材採用課の課長。社内では主に人材の採用や広報活動を行っている。多くの技術者と面談をしていくなかで、「より土木の知識を身に着け、深く候補者との関係性を構築したい」という思いから、土木未経験ながら一級土木施工管理技士補の取得を決意し、体系的に学習中。メインラインエンジニアリングは、高速道路の発注者支援業務の会社です資格取得は、あなたの未来を切り拓く大きな一歩となります。発注者支援業務の解説ページはこちら